記事一覧

湯川先生への手紙(原文)のまとめ

いまから、12月4日に行われる僕の恩師、湯川先生のお別れ会に向けて、先生への思いを綴りたいと思います。ブログにまとめて書いたりする方がいいのかもしれませんが、思いつくままに書いていきたいので、Twitterを利用します。TLを独占してしまうかもしれませんが、どうかご容赦ください。
12-03 05:12

高校2年生の終わり頃、野球部に所属しながらも、湯川先生が顧問を務める音楽部に僕が入部をしたのは、作曲家になりたかった自分が、音楽的知識を少しでも身につけるという目的でした。そんな僕に湯川先生は、「今から芸大の作曲科を目指したって、受験には到底無理だ」と仰いました。
12-03 05:17

それが、湯川先生との出会いでした。芸術家として身を立てる難しさを先生は僕に言い続けましたが、恐れを知らない僕は、先生に夢だけを語っていました。ついには湯川先生もそんな僕を応援してくれるようになりました。そして、歌う楽しさも教えてくれたのもそのときでした。
12-03 05:25

しかし、作曲科入学への道のりは先生の仰るように、非常に困難なものでした。先生はいつも悩んでいる僕の相談にのってくれました。そして、あるとき飲み会の席で酔っぱらいながら、「お前なぁ、作曲にそんなに悩むんだったら、歌でもやってみるか」これが人生の転機となりました。
12-03 05:29

それからは、1年半かけて芸大の声楽科に入学し、声楽家としての人生は今に至ります。しかし、先生は僕に声楽を勧めたことについても、「あんとき、酔っぱらった勢いで勧めなきゃよかったよぉ」とことあるごとにおっしゃいました。それは、声楽家で成功することの難しさご存知だったからです。
12-03 05:32

でも、僕は大きな夢だけを言い続けました。先生はそれを聴いては大声で笑って、「バカだなぁ、お前は」と。そう言いながらも、湯川先生はいつも僕の勉強を気にかけ、応援してくださいました。でも、コンサートに足を運んでくださっては、少し褒めて頂くことはあっても、「まだまだだなぁ」といつも。
12-03 05:43

そんな先生と最後にお会いしたのは、今年の8月27日、音楽部の定期演奏会ででした。先生はあまりお元気ではなかったようです。「おれぁ、この舞台で死ぬかもなぁ」なんて冗談を仰るので、今度は僕が「バカなこと言わないでくださいよぉ」って答えました。コンサートは無事に終わりました。
12-03 05:43

そして終演後の飲み会の席で、先生に少しでも元気を出してもらおうと、くだらない考えでしたが、先生の席の周りを女の子ばかりにして、僕は会を盛り上げることに熱中しましたが、翌日にコンサートを控えていたので、2時間ぐらいで抜けようとしました。すると湯川先生の周りにいた女の子が言いました。
12-03 05:46

「いま、湯川先生が、『宮本は俺の誇りだ』って、言ってたんですよ。」僕は先生に「そんなこと言ってくださったんですか」って言うと、先生はにこやかに大きくうなずいていました。それが先生のお顔を拝見した最後の機会となりました。その笑顔を背に、居酒屋をあとにしました。
12-03 05:53

先生からそのようなことを言って頂けるとは夢にも思っていませんでしたから、嬉しくて嬉しくてしょうがありませんでした。でも、結局、先生に「誇り」だなんて言って頂いたのは後にも先にもその一回だけとなってしまいました。
12-03 06:09

その後に先生について伺ったのは、僕のコンサートをDVDにしてくださった方が、編集前の映像をお見せしたときです。先生はそのコンサートにいらっしゃいませんでした。でも、そのDVDをご覧になって「『上手くなったな~あ』と感激しておりましたよ」とのことでした。
12-03 06:11

それが、間接的にですが、僕にとっての湯川先生の最後の言葉となりました。僕は先生に十分なご恩返しが出来たのかどうか分かりません。でも、最後に喜んで頂くことができて、誇りに思って頂くことができて、僕は本当に幸せに思います。
12-03 06:13

先生は声楽の最初の師であるだけでなく、人生の師でもあります。僕たちはみんな湯川先生に憧れました。みんな湯川先生のような声が出したいと思いました。みんな、湯川先生の指揮で歌うのが好きでした。
12-03 06:16

湯川先生と温泉によくいきました。飲み会でいろんなことを語り合いました。進路からプライベートまで色々な相談に乗ってもらいました。初めて彼女が出来たときなんかはすぐ報告しました。「三日で別れさせてやる~」なんていいながらも、まるで自分のことであるかのように喜んでくれました。
12-03 06:18

今年も温泉に行く約束をしました。地元にいい温泉が出来たんですよって。先生は「都合つけるから日にちが決まったら教えろよ」っておっしゃいました。でも、夏は忙しくしているうちに終わってしまいました。先生と温泉に行く約束は果たせませんでした。
12-03 06:20

先生はいつも「バカだなぁ、お前は」っておっしゃってくださいました。先生が入院されたと伺ったときも、それを思い出しながら、こうして文章を書いていても、涙が止まりません。でも、先生は空の上から、パルマまでちょっと遠いですけどね、「バカだなぁ、お前は」って笑ってるんだと思います。
12-03 06:23

先生にはいつも大きなことを約束しました。スカラ座で歌うことになったら、ファーストクラスのチケットを添えて、招待券を送ります、って。やっぱり「バカだなぁ、お前は」っていいながらも、「楽しみにしてるぞぉ~」って、おっしゃっていました。
12-03 06:25

先生のお顔を最後に拝見できないのは本当に残念に思います。でも、僕は本当にバカなので、先生との約束を果たせるまで、ずっと前を向いて進んで行きます。それで、いつかスカラ座で歌うときに、空の上から、もう一度「上手くなったなぁ。お前は俺の誇りだ。」って言ってもらえるように。
12-03 06:28

そのために、バカなことを突き通します。スカラ座で歌う時がきて、大舞台で緊張して、歌詞を間違えたりしたら、きっと「バカだなぁ、お前は」って聞こえてくるんだと思います。それを楽しみに、先生との約束を果たせるように、これからも勉強に励みます。
12-03 06:31

だから、どうか、湯川先生、これからも空から見守っていて下さい。先生の誇りでいれるよう、これからも「バカだなぁ、お前は」って叱咤激励してください。このバカが先生のお墓に招待券を添えることができる日まで…。
12-03 06:52

どうか、今はゆっくりとお休み下さい。でも、この弟子が心配になったら、また「バカだなぁ、お前は」って声をかけて下さい。湯川先生、いつまでも心配をかける弟子ですみません。湯川先生、今までありがとうございました。本当に…、ありがとうございました…。
12-03 06:59

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント