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世界一詳しい(?)ジャンニ・スキッキのあらすじ 〜その4
(前の記事を読まずにここにたどり着いた方はぜひ

「世界一詳しい(?)ジャンニ・スキッキのあらすじ 〜その1」

から読んでみてください。)





「声は瓜二つだったか!?」

そう問いかけるスキッキに対し、一同は、

「全くもって!」

「ああ、私の勝利だ!!」

スキッキは勝ち誇ります。

しかし、親戚一同はよくわからない様子。



「全く・・・!この、カボチャ頭が!!」

そういうとスキッキは一同に向かって、

「公証人のところに急いで行ってこい!『公証人様、急いでブオーゾ・ドナーティのところへ!かなり弱ってて、遺言状を作成したいのです!羊皮紙を持って、急いで!手遅れになってしまいます!』と伝えてくるんだ。」

さらにスキッキは続けます。

「で、公証人がやってくる。部屋に入ると、そこは薄暗いんだ。ベッドの中には、ブオーゾ姿がうっすら見える!・・・頭には帽子をかぶり、・・・顔は布で覆われ、そしてそこから、鼻は覗いてるんだ・・・、ブオーゾのではなく、俺のがな!なぜかって?その場所にはそう、俺様がいて、このスキッキ様が例の声で、ブオーゾ・ドナーティを演じながら、公に遺言状を作成するのさ(※註20)。どうだお前ら、俺が閃いた、この狂ったトリックは、永遠に破られないだろう!」



そこまで聞いて、ようやく理解した親戚一同、

今までの態度を一変させ、スキッキを褒め讃える大合唱。

「親戚同士の愛情はなんと素晴らしい事だろう!(※註21)」

このとき、リヌッチョは公証人の元へと走ります。



そして、その騒ぎに乗じて、シモーネがスキッキに相続金の配分を申し出ようとしますが(※註22)、

それを制するかの様に、親戚一同、

「全て均等に!」



そして、親戚一同各々自分たちの希望する取り分をスキッキに伝えると(※註23)、

少しの間をおいてツィータが言います。

「これで残ってるのは・・・、ラバと、この家、それからシンニャの粉挽き場ということになるわね。」

それを受けてマルコ、

「最も価値の高い・・・(※註24)」



全てを制する様にシモーネが言います。

「ああ、分かってる、分かってるさ。私が一番年老いてるし、フチェッキオの市長でもあったからな、みんな私にくれるというんだろう。皆には感謝するよ・・・(※註25)」

すかさず、止めに入るツィータ。

「いやいやいやいや、ちょっと待ちなさい!あんたが年寄りだと言うなら、あんたのためには良くないわ。(※註26)」

親戚一同、全て自分のものだと言い争いを始めます。



そんな様子を部屋の隅で眺めるスキッキ、

「親戚同士の愛情はなんと大変な事だ!(※註27)」

といいながら笑います。



そして、家族の言い争いも最高潮に達した頃、

突然、町から死を告げる鐘の音が聞こえてきます。

動きを止める親戚一同。

「ブオーゾの死が漏れてしまったのか!」

「これで全て終わりだな!」

とはジャンニ・スキッキ。



そのとき、テラスの方からラウレッタが話しかけます(※註28)。

「パパ、あのね、小鳥が餌をもう欲しがらないの。」

「じゃあ、飲み物をあげなさい!」

ラウレッタはまたテラスに消えて行きます。



一同が消沈する中、

様子を見に行っていたゲラルドが戻ってきて叫びます。

「軍人様が事故で洗礼を受けたムーア人を殺めてしまったようだ!」

すかさず、

「彼に穏やかな安息を!(※註29)」

と大合唱し、ほっとする彼ら。



そして、またシモーネが切り出します。

「では、この家と、ラバ、粉挽き場の配分についてはスキッキの公正さに委ねる事にしよう!」

「スキッキに任せよう!」と一同。





つづく

その5はこちら



<ここまでの動画>





(※註20)ダンテの神曲より引用している箇所。もともとジャンニスキッキとは、ダンテの神曲地獄編に登場する人物で、遺言状を書き換えた罪により地獄に落とされた人物です。神曲内ではほんの数行しかジャンニ・スキッキは登場しませんが、それをプッチーニがこのような痛快なオペラに仕立て上げました。【原文】falsificare in se' Buoso Donati, testando e dando al testamento norma(ブオーゾ・ドナーティの真似をし、遺言を喋り、遺産の配分をして、公に遺言状を作成する)【台本】Io falsifico in me Buoso Donati, testando e dando al testamento norma(私がブオーゾ・ドナーティの真似をし〜)

(※註21)これは、既にスキッキも親戚の一員と言っているようにとらえる事ができますが、単に、親戚(ブオーゾ)の遺産が手に入るのを喜んでいるだけかもしれません。

(※註22)シモーネは抜け駆けして、自分だけが遺産を得ようとします。このような彼の性格は後のシーンでも明らかになります。

(※註23)シモーネ「ワシにはフチェッキオの農園を」、ツィータ「私にはフィッリーネのそれ(農園)を」、ベット「私には、プラートにあるそれ(農園)を」、ゲラルド「私たちにはエンポリの土地を」、マルコ「私にはクイントレのそれ(土地)を」、ベット「私に、プラートのそれ(土地)を」、シモーネ「フチェッキオのそれ(土地)を」

(※註24)ここで初めて、ジャンニ・スキッキにそれらが価値がある事が伝わってしまいます。よくある演出では、ここで、価値がある事をばらしてしまったマルコが妻のチェスカにどつかれます(私はここで肘打ちを食らいます)。物語上、価値があるという事を確認しただけという風に取る事もできます。こういう箇所、また、あらゆる箇所でいつも最後に発言している事から、気弱であり、空気が読めないという性格が読み取れます。

(※註25)今まで困る度に「フチェッキの市長だったろう、なんとかしろよ」と言われたこと(なにもできなかったが)を逆手に取った発言。こういう発言から、シモーネのしたたかで人一倍強欲な性格が伺えます。

(※註26)このシーンもそうですが、何かあるとまず止めに入るツィータ。また、老人扱いされて怒りだすことなどから、彼女の勝気な性格が伺えます。遺言状を開くのも、スキッキと対立するのも彼女であり、親戚内の実質的なリーダーである事は間違いないでしょう。

(※註27)先ほどの親戚一同の台詞「親戚同士の愛情はなんと素晴らしい事だろう!」をもじった皮肉。

(※註28)最高に緊張感が高まったところで、この空気を読めないラウレッタの発言。私はプッチーニにかなりのコメディ的センスがあったことをここで最も強く感じます。

(※註29)楽譜上「陽気に」という指定があります。

テーマ:オペラ - ジャンル:音楽


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